株式会社 ヒートエナジーテック
プロジェクトストーリー vol.01
世間でも注目されるようになっているカーボンニュートラルへの取り組み。
それは産業界においても実現に向けた取り組みが加速し始めていた。
生産統括本部 技術部 部長
1997年入社
J.F
・Chapter 01
弊社は持続可能な社会の実現のため、工業用水素バーナの開発に既に着手しております。2014年に水素を燃料とした炬火台バーナの開発に着手し、2018年の福井国体で世界初の2MW級純水素燃焼式炬火台バーナを実用化しています。2021年にはPhase2に移行し、工業用の水素燃焼式バーナの開発に本格的に乗り出し、2023年3月、水素専焼式熱風発生装置の製品化に成功しました。
水素は燃焼時にCO2が発生しないため、脱炭素社会実現に向けた有望な選択肢の一つです。一方、天然ガスと比べて燃焼速度が速く、火炎温度も高いなどの特徴があり、本製品開発には、バーナの部品の焼損が激しくなるなどの課題がありました。この技術的課題に対して、東京ガスと共同でバーナ形状の最適化に取り組み、燃料と空気の混合方法を改善することで課題を解決し、商品化することができました。
・Chapter 02
現在、我が国に流通している水素はほとんどがグレー水素であり、単位発熱量当たりの実勢価格は都市ガスの8倍以上といわれています。再生可能エネルギー由来のグリーン水素の台頭に伴い、水素価格が都市ガスやLPガスと同等の価格に低下するまでは、炭化水素系の燃料との混焼バーナを採用することで、段階的なカーボンニュートラルへの移行が可能と考え、弊社では早い段階から水素と都市ガス・LPガスの混焼バーナの開発に着手し、商品化に成功しております。
混焼バーナの市場投入へのファーストステップとして、UCC上島珈琲と共同でコーヒーの水素焙煎に関する発明について特許を出願しました。水素によるコーヒー焙煎は日本初の取り組みであり、コーヒー特有の味覚や香りを引き出すために、精度の高い火力コントロールを必要とするコーヒー焙煎において、水素の取り扱いの難しさが課題となっていましたが、多様な観点からの検証を実施し、水素ならではの燃焼特性を活かした焙煎機用熱源を提供できたと自負しております。今後は大型生産機の受注に向けて1MW級の混焼バーナの生産準備を進めており、パイロット機で得られた知見を活かしたアップデートを予定しています。
